前回松樹液エキスについて調べてみた。
なかなか効果があるようであるが、いろいろとわからないこともあった。
それでもう一度記事を書いてみたい。

前回わかったことのうちでお値打ちものは、アルギニンと松樹液エキス(実験に使われたのはピクノジェノール)の組み合わせで、EDが治癒する可能性が90%以上という臨床実験結果が有るということ。効果のほどは実証されているようである。それで私も試してみようと思っているわけだが^^;

また松樹液エキスの効果の中心は抗酸化作用で。これが大変に強力だという。
サプリ成分の多くがこの抗酸化作用の効果を謳ったものが多い。
このことは事実だとしてもビタミンCやEよりも数百倍の抗酸化作用が有るということに関して言えば、前回引用したメーカーの図は怪しいものだった。

なので、ビタミン類との比較については今のところ未解決としておく。
わかった段階で付け加えていく。

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その抗酸化作用の役割を担う成分はプロアントシアニジン(PAC)またはオリゴメトリック・プロアントシアニジン(OPC)とも呼ばれる成分だった。オリゴメトリックというのは、プロアントシアニジンが複数個結合していることをいう。

 

オリゴメトリック・プロアントシアニジン(OPC)が有るから松樹液エキス(ピクノジェノールやフラバンジェノール)はすごいんだぞという宣伝がネット上でも行われているが、さらにみてみるとこれは松樹液エキスにも含まれてはいるけど。

意外と周りにはそれを含んだ植物はたくさんあって、果実類、麦類、豆類にもふくまれるし、また、赤ワイン中のポリフェノールの主成分でもある。
そしてぶどうの種にはオリゴメトリック・プロアントシアニジン(OPC)が大量に含まれている。

つまり自然界にはよくある成分である。

最初「ピクノジェノール」というおフランス語の単語を聞いたときに、なんだかとっても効果がありそうな成分名だと思ったが、よくありがちな成分が含まれていると知ったと同時にその魔法は解けてしまった^^;

とは言え精力剤の成分としても効果があって、若返りの成分としても期待されているとなるともっと詳しく調べてみたいし、もしほんとうに効果がありそうなら使ってみたい。
最近目が疲れるんでナボリンSという薬を飲んだらすごく効いたんで、少し前に記事を書いたが、その薬はビタミンを効果的に働かせることで末梢神経を活性化させ、肩こりや眼精疲労を取り除くというものだった。

オリゴメトリック・プロアントシアニジン(OPC)がビタミン類を超える能力が有るとすれば、それを摂取すれば同じ効果が得られるのかもしれない。

と思ったりした。

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マリちゃん静止画1

ピクノジェノール!私にも買ってちょうだい。

 

プロアントシアニジンって?

ポリフェノール研究の第一人者であったマスケリエ博士は、1951年にフランス海岸松の樹皮から抽出したポリフェノールで特許を取り、1971年に松樹液エキスのノウハウを使ってブドウ種子から抽出したポリフェノールでも特許を取得した。このマスケリエ博士が考案した抽出法による松樹皮あるいはブドウ種子由来のポリフェノールをOPC(オリゴマー・プロアントシアニジン複合体)と呼ぶ。今はOPCは独り歩きして様々な意味が付け加えられたりしているので要注意。

松樹液エキスやぶどう種子エキスに含まれ、強力な抗酸化作用を示すと言われるプロアントシアニジンについて図でまとめてみた。

プロアントシアニジンは、カテキンがいくつか結合した構造のもの。

図1

 

カテキン (catechin) は、狭義には化学式C15H14O6で表される化合物であり、フラボノイドの1種である。分子量は 290.27。
広義にはその誘導体となる一連のポリフェノール(poly=多数の、phenol=フェノールの意味でフェノールを多数内在した化学構造の分子)も含み、この意味での使用例の方が多い。広義のカテキンは茶の渋み成分である。これらは酸化によって重合しタンニンとなる。(ウィキ)

図2

カテキン

 

プロアントシアニジンは体の中に取り込まれた後、比較的分解されにくいので、効果が長持ちするといわれている。

プロアントシアジンの抗酸化作用の仕組み

それでこのプロアントシアジンがなぜ抗酸化作用があるのかだが。

その鍵はフェノールにある。

図3

ウィキから引用

フェノールとはベンゼン環が結合している構造で、ベンゼン環の中では電子がぐるぐる回っている(図3)。そしてカテキンのような水酸基OH-ポリフェノール(たくさんの(ポリ)フェノール)は分子構造の中に、フェノールを多数持っている(図2)。

ベンゼン環の中を自由に移動できる電子は、他の原子や分子に電子を与えやすい性質を持っている。

一方、体の中には、「酸素の原子核の周りを回っている電子が不安定な状態になっている」活性酸素があり、一刻もはやく安定状態になりたいため、見境なく、回りにいる分子から電子を奪おうとする。電子を奪われた分子は、血管を始めとして、体の至る所を傷つけるため、老化の原因となっている。

そこにポリフェノールを入れてやると、ポリフェノールが活性酸素に電子を与えて、その暴力的な活性を鎮める。

タミイ静止画1

難しいけど図が有るとなんとか分かるよ。

ブドウ種子ポリフェノール、松樹皮抽出物、ピクノジェノール、OPC(オリゴメトリック・プロアントシアニジン複合体)

OPC服用の効果

OPC(オリゴメトリック・プロアントシアニジン複合体)はブドウ種子ポリフェノールや松樹皮抽出物に多く含まれている。
他にもOPCが含まれているものはたくさんあるが、特にこの2つに注目が集まるのはマスケリエ博士の研究による。

報告によればプロアントシアニジン服用量で、以下の様なことが認められたという。

服用量は、脚の腫脹には1日150〜300mgを3週間続ける。その後は、1日50〜100mgを服用。

その他の症状改善を目的とするときは、1日50〜100mgを服用。

その効果が確かめられた疾患

  • 脚の浮腫(腫れ、むくみ)
  • 静脈瘤(痔を含む)
  • 慢性歯周炎

間違いないだろうと思われる作用

  • 抗酸化作用
  • 抗炎症作用
  • 血管壁強化作用

また臨床実験例が多いブドウ種子ポリフェノールについてはその効果についてのエビデンスがはっきりしている。
効果があるもの、まだ明らかでないもの、科学的根拠がないものというふうにはっきりと示されている。

A:科学的根拠がたいへん強いもの。 B:科学的根拠が認められるもの。 C:科学的根拠がまだ明らかでないもの。D:科学的根拠が認められないもの。 E:科学的根拠が全く認められないもの。

A:浮腫(腫脹)、慢性静脈機能不全。 B:糖尿病性網膜症、毛細血管脆弱症。 C:血小板凝集抑制、抗酸化作用。高コレステロール改善、顔のシミ改善、紫外線からの肌の保護、肌の老化防止。視力改善、膵炎、月経前緊張症、 抗癌作用。 D:放射線治療の防御、アレルギー性鼻炎。

松樹皮ポリフェノールとブドウ種子ポリフェノール。どちらが効果が高いか。

松樹皮ポリフェノールとブドウ種子ポリフェノールを比較してどちらが効果が高いかという記述は見つけられなかった。

そもそも発見者であるマスケリエ自身は「松樹皮のほうがブドウ種子よりも効果が高い」とは言ってない。

それどころかブドウ種子ポリフェノール中のオリゴメトリック・プロアントシアニジンと松樹皮抽出物由来のオリゴメトリック・プロアントシアニジンは類似。
成分的には殆ど同じだと言っているものは多数見受けられた。

含まれているプロアントシアニジンはほぼ同じものであるからそれも当然と思われるが。
ぶどう種エキスでも松樹液エキスでも成分的にはそれほど違わないということだ。

ピクノジェノールとフラバンジェノールの効能の差を裏付ける資料はない

それからフランスの松にだけ特別な効果がある根拠は見いだせない。
同じ品種である以上ニュージーランド産であろうと中国産であろうと、ピクノジェノールを抽出しているフランス海岸産のものとの違いは見られないということだ。

また同じフランス海岸の松から抽出された松樹液エキスには商標登録されたものが2つあって、それぞれピクノジェノールとフラバンジェノールと呼ばれているが。
これら製品の効能効果は、商標登録会社が謳うところによればほぼ同じである。
またこの二つの製品の成分や効果が同じであるか否かの比較資料はない。

それなのにピクノジェノールは突出して値段が高い。

ここまで見てくるとその根拠は崩れてしまっているんじゃないの?と思えてしまうんだが果たしてどうか。


でも・・・ステマがないと思われるiHerbのレビューはダントツでピクノジェノールに対する評価が高いんだが。
これも後で深掘りしてみたい。

ともかくも。

まとめると

  • 一般的にぶどう種子ポリフェノールに比べたら、松樹皮ポリフェノールのほうが価格が高いが、成分的には類似のものである。
  • 松樹液エキスに関してもフランス海岸の松から抽出したエキスがブランドになっているし価格も高いが、他の国の松から抽出したエキスとの違いが見られない。
  • フランス海岸の松を抽出したエキスには二種類のブランドが有るが、各社が謳うその効能は似ており、ピクノジェノールとフラバンジェノールの効能の差を裏付ける資料はない
  • ただしIHerbno
  • レビューを見るとピクノジェノールの評価はかなり高い

という身も蓋もない結論になってしまった^^;

マリちゃん静止画1

買ってもらうのにピクノジェノールが良さそうだったんだけどね。もし効果が同じならば、安いものでもいいよ。

この二つの抽出原料は異なるので、効果は違うんじゃないかと思われるんだが、前にも書いたが、longwood herbal task forceという論文によれば「同じようなものだ」とバッサリ効い捨てられている。
しかも抽出物中のポリフェノールの濃度はブドウの種の抽出物由来の製品が95%濃度であるのに対して、松の樹皮由来の製品が80~85%。濃度で言えば、ブドウ種子油来製品のほうが高濃度。

ただぶどう種子ポリフェノールと松樹皮ポリフェノールについてはわかっていないことも多くて、それぞれに言い分は有る。

両者の主張は?

ブドウ種子ポリフェノールを販売しているサイトでは

いくつかの理由から、フランスの製薬会社はすべての研究や臨床試験にはブドウの種の抽出物を使用している。
しかもブドウの種から採取したプロアントシアニジン複合物の販売量は松の樹皮抽出物の5倍以上だ。

比べたらわかるが、ブドウの種抽出のプロアントシアニジンは95%であるのに対して、松の樹皮では85%である。

とブドウ種子ポリフェノールの優位を謳っている。

フランスの製薬会社はすべての研究や臨床試験にはブドウの種の抽出物を使用している。

とあるのは 臨床効果を記した論文は、ブドウ種子ポリフェノールのもののほうが圧倒的に多いということを言っているのである。
プロアントシアニジンの研究の多くはブドウ種子ポリフェノールを使ったものである。

一方松の樹皮抽出物のほうを応援するサイトでは、”松の樹皮の効能があるのは、プロアントシアニジンだけではない!それに松の樹皮には ブドウの種にはない様々な分子量のポリフェノールがあるので、そのために細胞や組織のいろいろな箇所に到達できる」と反論している。

松樹液エキス派の主張の意味

松樹液エキス側の主張の中にブドウの種にはない様々な分子量のポリフェノールがあるので、そのために細胞や組織のいろいろな箇所に到達できるというのが有るわけだが。

この意味について詳しく書いておく。

効果と分子量の大きさについて

このOPCを口から摂取すると小腸の壁から吸収され、血液の中を通って目的の組織に到達するわけだが。プロアントシアニジンの分子(図1)は大きいので、カテキン分子が5つ以上連結したような大きな分子は小腸の壁を通過できない。体に吸収されるには分子量は500以下でなくてはならない。確実に腸の壁を通過できるのは3個連結体(三量体)までで、連結数が多くなるほど、腸の壁から吸収されにくくなる。

松樹液エキスもブドウ種子由来の製品もプロアントシアニジンの分子の大きさまではわからないので、どの程度吸収されるかはわからない。
最高の品質のプロアントシアニジンでも体に取り込まれるのはせいぜい80%だと言われている。
たとえ、ぶどう種子ポリフェノール濃度が95%であると謳っていても、実際には製品中に含まれるポリフェノールの分子量が500以下のものがどれだけあるのかで、吸収量が決まってくる。

ブドウ種子ポリフェノールのほうがプロアントシアニジン含有比率が高いといっても分子量が大きなものばかりだったら腸から体に取り込めないので、含有比率は決め手にならない。

つまり、松樹液エキス支持派はプロアントシアニジンの量は少ないかもしれないけど、吸収力は松樹液エキスのほうが良いぞと言っているのである。

だが、いずれ吸収率が少しぐらい悪いとしても、飲み続けると常に一定量のプロアントシアニジンが体内に保持されるようになる。

また腸の壁を通過できなかったプロアントシアニジンの一部は、腸内細菌で分解され、低分子のフェノール酸という形になってこれは体に吸収される。
これは体内での寿命はプロアントシアニジンにくらべると短いものの、プロアントシアニジンと似た作用があり、抗酸化作用を示す。

ということなので、松樹液エキスやブドウ種子由来の製品でプロアントシアニジンを摂取していれば、効果は期待できそうなのである。

ブドウの種由来の製品が安いのはなぜ?

ブドウは毎年収穫されるのに対して、松はエキスを抽出できるまでの木に育つまで、15年はかかるので、当然原料コストに差が出る。
さらに、ブドウはワインの原料として大量に生産され、かつ廃棄物としての種が大量にでる。ブドウ種子ポリフェノールはその廃棄物を利用するわけなので、原料コストがさらに安い。

 

松樹皮ポリフェノールとブドウ種子ポリフェノール。どちらがコスパが良いか

もしプロアントシアニジンの効力が、どの製品も同程度であり、製品の効力はプロアントシアニジンによるものと仮定した場合には。
これはもう調べるまでもなく、ブドウ種子ポリフェノールのほうが圧倒的にコスパが良い。

ブドウ種子ポリフェノールのサプリを見てみる。

NOWのブドウ種子エキスは、ブドウ種子に含まれる強力な水溶性フリーラジカル捕捉化合物、オリゴマープロアントシアニジン(OPC群)を含む、少なくとも90%のポリフェノールを有する高濃縮天然エキスです。ブドウ種子OPC群が酸化および代謝ストレスに対する健康でバランスのとれた抵抗応答をサポートすることで、血管、骨、腎臓、脳および他の組織の健康をサポートする可能性のあることが、増大を続ける研究において示されています。

1回分の摂取量 1カプセル

ブドウ種子エキス(Vitis vinifera)(総ポリフェノール類90%以上) 250 mg
アムラエキス(果実)(Phyllanthus emblica) 60 mg
ルチンパウダー(ソフォラジャポニカ)(フラワーバド) 50 mg

¥1,645一日のコスパ¥1,645÷45=37円弱

仮にピクノジェノールよりも効果が弱いとして、倍の量を飲んでみることにした。

一方ピクノジェノール

ピクノジェノールはフランスの海岸の松の樹皮から作られた天然の植物産物で、優れたフリーラジカル捕捉剤である水溶性抗酸化フラボノイドのプロシアニジンが豊富です。多くの科学的研究により、ピクノジェノールが血管の強度および機能を維持するのに役立つことが実証されています。また、ピクノジェノールは、健康でバランスのとれた炎症性応答をサポートすることが確かめられています。

ピクノジェノール(フランス海洋
パインバークエキス)(Pinus pinaster)
60 mg
アセロラパウダー(Malpighia punicifolia)(フルーツ) 200 mg
ルチンパウダー(ソフォラジャポニカ)(フラワーバド) 240 mg

¥2,785一日のコスパ 2785÷60=47円弱

ぶどう種子ポリフェノールの方は一日のコスパ37円弱

ポリフェノールの方は47円弱であるが。

ポリフェノールの量が500÷60=8倍以上も違うんである。

ポリフェノールの量あたりのコスパで言えば10倍以上の価格差。

ただもし「プロアントシアニジン」と表記されていても、化学的に全く同一の分子ではない。
また重要なことは製造日からどんどん劣化していくものであるという事実

だから単に成分表示だけを推し量れるものではないにしろ。

私としてはまずはぶどう種子プロアントシアニジンを試してみたい^^;
効果がないものを安いからと言って摂取するのは間違いだが、今まで調べてきたところではそこまではっきりした違いがわからなかった。
分からなかったのは自分だけで、違いが有るのかもしれないが。
私なりのとりあえずの仮設はできたんで。

なのでぶどう種子エキスを試した後で、ピクノジェノールも飲むことにする。
そうすれば少なくても個人的な感想は述べることができると思う。

 

今回はここまで。
調べていくといろいろ出てきて、たったこれだけの記事なのに、かなり時間を食ってしまった。
精力剤の成分にピクノジェノールが入っているという、ただそれだけのことから興味が湧いて色々と調べてみたんだが。
実に大変だった。
わかりにくい記事になっているとしたら申し訳ない。

ただ私としては調べる中で知識が深まって、少しずついろんなことが見えてくるのが楽しい。
最近はすごいすごいというステマっぽい記事は、読むけど、このサイトではあまり参考にしなくなってきている。

サプリの世界は深いし、それを調べることで健康とは何かってことも見えてきたりする。
自分が服用するという前提で調べるので、記事を書いていく中で成分の本当の効能を知ることで私の実生活でもとても役に立っている。

もし少しでも皆さんの参考になることがあれば幸いだ。

今回はここまで