最近家で料理をつくることも多いんで。

今回は油について書いてみようと思う。
油はいろいろと難しいものがあって。
深掘りしても尽きることがない。

普段使いする食用油にはサラダ油、キャノーラ油、ベニバナ油、ごま油、大豆油、米油、オリーブオイルななど種類はいろいろあるが。
最初は取り敢えず基本的なことを書いてみたい。

まず油というのは酸化するものだということ。
植物油は特に痛みやすい。
酸化すると
だから光や熱、空気によって酸化されるのでできたら空気や光を通さないビンか缶に入れて冷暗所に保存するのが必須。
それと「酸化されにくい」油を選ぶ。

トランス脂肪酸が野放しの日本

ただし、「硬化油」といって植物油の酸化されやすいという欠点を補うために、水素を添加して不飽和脂肪酸を飽和脂肪酸に変えてしまうという手法が開発されて一時世界中に広まったんだが。
その後この水素を添加しても飽和脂肪酸になりきれなかったものがトランス脂肪酸というものになるということがわかって大問題になった。

タミイ静止画1

そうだったんだ、知らなかった

「硬化油」が酸化しない油であることは間違いないが、体に非常に悪いトランス酸を含むので、硬化油を使って作られた食品は食べるべきではない。
でも、となると市販のお菓子やケーキは食べてはいけないことになる。
というのもそれらにはほとんどマーガリンやショートニングが使われているからだ。

マーガリンやショートニングには危険なトランス酸がたくさん含まれているからだが。

「硬化油」は水素添加の処理時に脂肪酸が一部トランス化し、トランス脂肪酸が生成される。このトランス脂肪酸が心臓疾患・アレルギーを中心とする様々な健康被害を引き起こす可能性が指摘されている。
食品への使用においては、北アメリカやヨーロッパの大半の国では何らかの規制が設けられているが、日本では2007年に表示を義務付ける法律が作られたにとどまる(ウィキ)

表示義務だけって(-_-;)罰則規定はなしかよ!

日本では各企業による自助努力が期待されているだけで法的規制がない。
だからサプリなんかと同じで罰則がなければ、営利企業が都合の悪い表示をするわけがない。

だからお菓子にトランス脂肪酸の表示もされていない。

なので日本ではクッキーやその他お菓子には毒のトランス脂肪酸が入り放題なのにわたしたちにはわからない。
ただ毒が入っているだけなんだから(^^ゞ毒と言ったって国が規制していない以上問題はないってなもんだ。
特にショートニングは無味無臭でこれを使うとさっくりと焼き上がるし、揚げ油に使用すると、衣がパリッと仕上がって美味しくなる。しかも原価が安い。
クッキーやスナック菓子には必須アイテムなんである。

現在の科学的な研究は圧倒的にトランス脂肪酸の安全性を否定しているものが多数である状況であるため実質的な加工食品での全面的な使用禁止(農作物など加工食品でないものはFDAの管轄外である)になる事は変わりなくまた米国の食品業界では新規制への対応が既に十分進んでいる(ウィキ)

このようにアメリカでは既に実質的に禁止されている。2018年には全面禁止になるともいう。
このあたり日本の行政は本当に不誠実だ。
何が日本は安全だ!!!

ちなみに農林水産省のトランス脂肪酸に関する記事には

現時点では、日本において食品中のトランス脂肪酸について、表示の義務や含有量に関する基準値はありません。また、トランス脂肪酸だけではなく、不飽和脂肪酸や飽和脂肪酸、コレステロールなどの他の脂質についても表示の義務や基準値はありません。
厚生労働省が、国民の健康の維持・増進、生活習慣病の予防を目的に定めている「日本人の食事摂取基準(2015)」では、脂質に関しては、総脂質と飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸について目標量や目安量の基準を定めています。トランス脂肪酸について、目標量の基準は定められていません

とあってやる気なし!!

だから日本にいる限り、命が惜しければ良い油をつかうという前に、毒入りお菓子を食べないようにすることも大事だ。
パン、ケーキ、ドーナツ、クッキーといったベーカリー、スナック菓子、生クリーム、フライドポテト、ナゲット、電子レンジ調理のポップコーン、ビスケットといった食品中の殆どに毒のトランス脂肪酸が入っている。

なんせ

WHO/FAOの2003年のレポートで、トランス脂肪酸は心臓疾患のリスク増加との強い関連が報告され、また摂取量は全カロリーの1%未満にするよう勧告されている。平均的な活動量の成人の日本人1日当たり約2グラム未満が目標量に相当する。2016年の世界保健機関から出版されたメタアナリシスは、トランス脂肪酸の多い摂取量は心血管疾患のリスク上昇と関係があるため懸念であり、特に多価不飽和脂肪酸に置き換えることで血中脂質の状態を改善することが確認された。トランス脂肪酸は、必須脂肪酸であり攻撃性を減少させると研究で見出されているω-3脂肪酸の生成を抑制し、トランス脂肪酸の摂取量が多いほど攻撃性を増加させた。

とあり。トランス脂肪酸の摂取をできるだけ抑えることはそのまま健康につながる。気をつけないといけない。

マリちゃん静止画1

ガッちゃん、そんなこと言ったらフィリピンなんかもっとひどいと思うよ。


がっちゃん静止画1

たしかに平均寿命が60歳台のフィリピンと比べると日本はまだ良いかもしれんが・・・・比べる価値が無いというか・・

健康に良いと謳っている食品はそうはいっても安全だろうと言う思い込み(私のことだが)も大間違い。

たとえば健康によいと言われるフルーツグラノーラを私は朝食として食べていた時期があったんだが。
太るわ具合が悪くなるわ、良いことが一つもなかった。なんで?と思ったが、そのときにはわからなかった。
成分表示には原材料の中に「植物油」しか書かれていなかったし。
でもショートニングなんかバッチリ使ってるんだろうな。

サプリのところで散々やったけど。
表示義務があまりにもいい加減なので。都合の悪いものは「香料」とか「アミノ酸等」とか「乳化剤」とかしか書いていない。
だから何を使っているのかまったくわからない。
ごまかしているということは消費者に知らせたくない成分が入っているということだ。
日本で販売されているフルグラやミューズリーは健康を気にするんだったら買わないほうが良い。

調べれば調べるほど呆れてしまう日本の食品行政ではある。

ちなみに私が今買っているミューズリーは以下。情報の開示量の違いを味わってほしい。

某に日本メーカーのフルグラ成分表示

  • 原材料:オーツ麦、ライ麦粉、砂糖、乾燥果実(パパイヤ、レーズン、りんご、いちご)、小麦粉、ココナッツ、マルトデキストリン、植物油、米粉、水溶性食物繊維、コーンフラワー、かぼちゃの種、アーモンド、食塩、小麦ふすま、玄米粉/グリセリン、加工デンプン、クエン酸鉄Na、乳化剤、酸味料、酸化防止剤(ビタミンE、ローズマリー抽出物)、ナイアシン、パントテン酸Ca、カゼインNa(乳由来)、ビタミンA、ビタミンB6、ビタミンB1、葉酸、ビタミンD、ビタミンB12
  • 内容量:1000g

 

もともとスイスの栄養士によって1800年代に開発されたミューズリーは、全粒穀物、ドライフルーツ、ナッツおよびシードをブレンドしたものから作られた素晴らしいシリアルです。Bob’s Red Millでは、栄養たっぷりのおいしい全粒シリアルを作ることに専念し、甘みと噛み応えのあるナツメヤシおよびレーズン、サンフラワーシード、アーモンド、くるみに、全粒押し麦、小麦、ライ麦、ライ小麦、オオムギを加え、必ず気に入っていただける高エネルギーミューズリーを作りました。当社のオールドカントリースタイルミューズリーは、ホットでもコールドでも、また袋から出してそのままお召し上がりいただくこともできます。作り方とおいしいレシピは袋の裏にあります。

当社の品質を実感してください!

ご使用の目安
お腹が満たされておいしいコールドスナック、ランチ、食事に:¼カップのBob’s Red Millオールドカントリースタイルミューズリーを½カップのヨーグルトに5〜10分(又はスイスでそうするように一晩)つけたら、出来上がりです!フルーツジュースや牛乳でもお試しください。1食分。

まったく別のホットシリアルとして:½ カップの水または牛乳加えて沸騰させ、弱火で3〜5分煮る。電子レンジでも調理できます。大きめの容器に入れてふたをし、高温で3〜5分加熱する。2食分。

その他の成分
全粒小麦、デンプンデンプン、ヒマワリの種、レーズン、全粒麦、全粒小麦、全粒小麦、全粒小麦(小麦)、亜麻仁、アーモンドおよびクルミを含む。

ナッツ、大豆、小麦、牛乳を使用する施設で製造されています。

成分表示によれば砂糖やショートニングは使われていない。やはりこれぐらいの情報公開は当然のことだろう。
じゃないと私達には買うべきかどうかの判断がつかない。
まあこの商品は急に値上げされちゃって私もムカついた一人なんだが。
レビューでも怒りの声が書いてあった。
それでも国産に比べてもコスパは良い方である。
以前は断然コスパが良かったが・・・・・いまはコスパはそこそこ・・・仕方がない。

大脱線しちまった。
話を油に戻す。

このトランス脂肪酸は自然の状態でもあるし、調理することによってトランス脂肪酸に変わるリノール酸のようなものもある。
電子レンジでチンしたときにも牛乳なんかはリノール酸が減ってトランス脂肪酸が増える。
だから電子レンジで調理をするのはやめたほうが良い。

ということなんで。
食用油には主にリノール酸、リノレン酸、オレイン酸などの「不飽和脂肪酸」というものが含まれているが。
そのうちリノール酸とリノレン酸は必須脂肪酸。
先程書いたようにリノール酸は酸化しやすいので加熱料理に使うことはおすすめできない。
リノレン酸はエゴマ、アブラナ(キャノーラ)、ダイズ、アマに含まれている。特にエゴマに多く含まれているが、その他の食用油には含まれていない。
含まれていても微量。揚げ物に使うにはちと高価。

揚げ物に使うとすると。加熱してもトランス脂肪酸に変わらないオイレン酸がお勧めということになる。

そこでオイレン酸のことを書こうと思ったんだが。
その前に。

キャノーラ油「悪魔の油」説は本当か?

オイレン酸が豊富に入っているということで注目を浴びていものにキャノーラ油がある。クセが少なく、和食からお菓子まで幅広く使得るのにコスパもよい。
だがものすごく評判が悪い。
でも不当に貶められているような気もする。
なので本当のところをちと調べてみたい。

キャノーラ油ってのは菜種油というけど違う。

キャノーラ油 (英: canola oil) は、菜種油のうち、品種改良によってエルカ酸(エルシン酸)とグルコシノレートを含まないキャノーラ品種から採油されたものである。カナダで開発されたためこの名が付けられた[4]。したがって、菜種油とキャノーラ油は厳密には同じものではない。一方、日本の食用向けの国産油は主に有害なエルカ酸を含まない無エルカ酸品種から搾油されているため、菜種油の呼称が一般的である。(ウィキ)

キャノーラ種は1970年代にカナダで品種改良により誕生したもので、「Canadian Oil Low Acid」の略。
キャノーラ油が世界的に普及した理由だが。

キャノーラ油は、ω-3脂肪酸とω-6脂肪酸の比率は 1:2で一般的な食用油として他に例を見ない理想的な比率を保ち(ω-3脂肪酸及びω-6脂肪酸を参照のこと)、残りの大半は一価不飽和脂肪酸のオレイン酸であり、飽和脂肪酸は一割未満であるので心臓病予防の観点からも優れた脂肪酸組成を有している(ウィキ)

とあってウィキでも絶賛されている。
ふつうに手に入る食用油の中では安くてバランスが良く毒性もないというところで受け入れられた。
しかし最近ではキャノーラ油は体に悪いという話が流布されていて、中には「悪魔の油」とレッテルを貼る記事もあるほど。
かくいう私もすぐにそういうレッテルには反応ししてしまう方なんで、キャノーラ油を家で買ったことがない。

ちなみに同じく今まで買ったことがない、悪の合成物質「白い麻薬」といわれているアスパルテームに関しては私は少し前に使用OKという結論を出した。
決め手はアスパルテームはグルタミン酸とフェニルアラニンという必須アミノ酸でできていること。

これは誰もが認めること。
それが体内で分解されてグルタミン酸とフェニルアラニンの形で体に入るのならばどこに毒性があるのか?
もちろん8万人に1人と言われるフェニルケトン尿症を持つ人はフェニルアラニンの摂取を控え無くてはならない。
逆に言えば殆どの人にとってフェニルアラニンは全く無害。どころか体にとっては有効な成分なんである。
また分解時にメタノールという有害な物質が出るが。
その量は同じ量のフルーツジュースを飲んだときに体内に取り込まれるメタノールの1/10 以下であることが数多くの権威ある公的機関で確認され、公表されている。

わたしはこのようなことを知った段階で、アスパルテームは安全なものだ、と確信をした。
これでもまだ「白い麻薬」だ!と言うためにはこちらがそれを覆せるような証拠を持っていなくてはならない。
私もそうなったら考えを改める。
が、今のところアスパルテーム安全説賛成派である。

アスパルテームは悪魔の甘い罠なのか?それとも問題なし?過剰な批判に根拠はあるのか?徹底調査してみた

こんな感じで最近思い込みが正されることが多い。
私としてはそれがとても刺激的で楽しい。

なのでこのキャノーラ油についても調べてみたいとおもったわけだ。

キャノーラ油は遺伝子組み換え作物から作られているがそれが何か?

だが、すぐにこりゃあ問題視する人いるよな、って思ったのはキャノーラ油画遺伝子組み換え作物から作られていること。

欧米では、遺伝子組換え技術を利用した品種が主力であり、カナダを中心に生産され、遺伝子組換え作物(GMO)として、大量に日本に輸出されている。なお、菜種油には遺伝子組み換え食品の表示義務は無い(ウィキ)

私自身遺伝子組換え作物だってだけで嫌悪感を催す様に刷り込まれているので遺伝子組換えと聞いただけで食品を買うことはなかった。
枯葉剤・耐性遺伝子組換え作物・モンサントで検索されるような物語が私の頭に入っている。
でもこのサイトを作り始めてからどうも食品などに対する批判の仕方がやりすぎだと思うことも多くなった。
安全を政治に転化して批判する人たちの存在も詳しく知るようになったし。
合成洗剤のことなんかまさに政治的プロパガンダの道具にされちまったなあってことが今ではわかったりしている。
そういうのもまた記事に書いてみたいが。

いずれ。
文系頭の人は化学的な事実よりも物語に反応する人が多いと思う。かくいう私もその一人なんだが。
サプリを調べていく過程でエビデンスの需要さを知ってしまった今。
そんなことでは皆さんのために焼くに記事をかけないし、何よりも私自身が損をする。ということがはっきりと分かってしまった。

そこで今回も、色々と深掘りをして調べてみた。

その結果ひとつ言えると思えるのは。

遺伝子組み換え植物が害があるとして、それが問題になるとすれば蛋白質の次元だってこと

遺伝子組み換えってのは細胞内のタンパク質を変化させることで作物に冷凍耐性や、薬剤耐性を持たせるために行う。

枯葉剤に耐えられる作物が怖いと言ったってそれは耐えられる体が怖いのであって。
体はタンパク質で作られている。
だから遺伝子組み換えによる変形タンパク質が人体にとって危険なのかどうかってことが問題なわけだ。

でもアタリマエのことだが、油には蛋白質は入っていない。
精製の過程で蛋白質はすべて取り除かれる。
しかもそのことは化学的に確実にわかる。
キャノーラ油に含まれているオイレン酸はオイレン酸であって、遺伝子組み換え植物から抽出されたと言ってもおいれんさんというものに毒が含まれているわけではない。

だからキャノーラ油の品質に関しては遺伝子組み換えかどうかは関係がない。という理屈になってしまう。
この理屈をさらに推し進めれば、農林水産省が

菜種油には遺伝子組み換え食品の表示義務は無いと思ったのは当然といえる。

この理屈に対して遺伝子組み換え作物を使っているからそこから採取されたキャノーラ油はやっぱり危ないんだ、と反論ができるのであろうか?

私は日本の食品表示義務については相当の不満を持つものだが。
でもキャノーラ油が遺伝子組換え作物であったとしてもそれに関して表示義務がないことが問題だ、とは思えない。

タミイ静止画1

いままでとは正反対の見解ね

がっちゃん静止画1

いやそうじゃなくて、わたしは必要な情報開示をしろと言ってるだけなんで。つじつまが合えば別にそれが表示されなくたってそれで良いんだよ

そんなことよりもトランス脂肪酸とか、ショートニングを使ってますとか、そういう表示をきっちりとしてほしい。
こっちは命にかかわる。

遺伝子組み換え作物については厚生労働省の資料もあるんで、モンサント社のものは信用できないという方でもこれぐらいはチェックすべきだと思う。

遺伝子組み換え作物が悪魔の産物であると思っている方は是非!分かりやすくてお勧め。

遺伝子組み換え食品の安全性について

それとキャノーラ油なんかとんでもないという人は油を抽出するのに劇薬を使っているから、という理由をあげる場合もある。
その結果トランス脂肪酸を含むことになり体に悪いというわけだ。

これに関しては私は違うという意見である。高温で抽出するためにトランス脂肪酸ができるというのであれば同意するけど。

 

油の製法についても知っていたほうが良い。

キャノーラ油が悪魔の油という人はその抽出法に劇薬を使っているから問題だという。
本当だろうか?

それを見極めるために、まずは油の精製法について見てみたい。

評判が良いのは低温圧搾製法。

圧搾というのは圧力をかけてすりつぶしながら絞るということ。よく雑巾を絞るのと同じだというたとえがされる。
薬品や、酸化防止剤を使わないので余計なものが混じらない。

低温圧搾法では60度以上にならない様低温で絞るので化学変化が起こらない。また原料が本来持っている風味、味や栄養素を生かすことができるが、問題は効率が悪いということ。
20~30%のオイルしか搾りとれない。

これらは玉締め圧搾法とか低温圧搾法(コールドプレス法)などと言われている。
玉締めの方は日本で行われている昔ながらの伝統的な圧搾抽出法で。
海外でほぼ同じようなやり方で行う方法をコールドプレス法というんだと思う。

ただしそのまま圧搾するよりも高温で加熱して絞ったほうが低温圧搾の2倍以上、60~70%のオイルを搾りとることができる。
なので工業的にはほとんど高温圧搾製法が採用されている。
ただし高温であるがゆえに壊れる成分も多く出るだろうということで、品質は落ちると言われている。
オリーブオイルとごま油に関しては精製しないからこの方法のみなんだが。
やはり高温圧搾製法で抽出された油は風味の点などで格落ちだよねという記事がネット上でも主流である。
私自身は、お金に余裕がある人は高価な低温圧搾法で抽出された油を買えばいいと思うが、高温圧搾製法で搾り取った油にケチをつけるのもどうかと思う。

タミイ静止画1

それは貧乏人の僻みね


まあでも高温だとトランス脂肪酸が作られる化膿性が高まるのは確かだから、健康のためだっていうのであればもちろん低温圧搾法で絞られた油のほうが良いよね。

溶媒抽出法の真実 キャノーラ油が悪魔の油って?はああ?

さてキャノーラ油が槍玉に挙げられているのは溶媒抽出法というのをやっているからだ。
菜種や大豆などは高温圧搾法で絞ってもまだ菜種や大豆には非常に多くの油が残っている(菜種で約40%と言われている)ため圧搾法と溶剤抽出法を併用して搾油する。
つまり圧搾製法で残った搾りかすからさらに油を絞り出そうというわけだ。
この絞りかすにノルマルヘキサン(劇薬)などの溶媒に溶かして抽出し、その後ヘキサン等を蒸発させ残った油を、食用油として利用する。

溶媒抽出法(ようばいちゅうしゅつほう、Solvent Extraction Method)とは、水と油のように互いに混じり合わない二液間における溶質の分配(どちらに溶けやすいか)を利用した分離・濃縮方法である。分離工学の一つである。

古典的な手法であり、有機化学にも無機化学にも応用可能で、小スケールの実験室から大規模な工業にも幅広く利用される。実際の利用例では、食用油、食用香料、DNA、レアメタル、ウラン等の濃縮・精製・抽出と、人間の生活には無くてはならない技術である。

こんな有毒なものを入れるの?と私のような文系の頭はすぐに反応してしまうんだが。
物を粗末にしないのは道徳的にも良いことなんだから、とも思う。
いずれも化学的思考からかけ離れたリアクションをしてしまう。

ところでこのヘキサンは、食品添加物として、製造工程での添加は認められているものの、工程内で全て除去され無くてはならないと決められている。
どうやって除去するのか?興味津々である。

それは・・・・
油精製工程の中に『脱臭』という工程があってヘキサン入りの油は真空に近い容器の中で200℃近い高温に晒される。
すると油の中の不純物がほとんど蒸発してしまうんだと。
話題のヘキサンの沸点は常圧で70℃程度なので、200℃かつ真空状態だと完全に気体となり、別の容器に移し替えられる。
そして回収されたヘキサンは搾油に再利用される。

気体として分離されたあと全て回収する訳だから当然油にはヘキサンは入っていない。
だからこんな劇薬が入ってしまった油は危ないという危惧は成り立たないことになる。

私はそれで納得。
しかしネット上ではいや、そんなことはない。
だってそんな高温に晒されたら脂肪酸は安全なシス型から有害なトランス型に変わるんだぞ!!
という記事がたくさんあった。どうあっても油に毒が混じっていると言いたいようで。
過激な記事になると油が全部トランス脂肪酸に変わってしまうぐらいの勢いなんだが。

まず確認をしておきたいのはヘキサンなどの化学薬品が注入されたからトランス脂肪酸ができるということはない。
ということ。

先程紹介をした農林水産省のトランス脂肪酸に関する記事には以下のように書かれていた。

また、植物から油を絞る際には、精製する工程で好ましくない臭いを取り除くために高温で処理を行います。この際に、植物に含まれているシス型の不飽和脂肪酸からトランス脂肪酸ができるため、サラダ油などの精製した植物油にも微量のトランス脂肪酸が含まれています

確かに高温処理をするとトランス脂肪酸ができるようである。あくまでも高温処理をしたために、であることを強調しておきたい。
農水省のレポートでは微量と書かれていたが。

キャノール油のトランス脂肪酸の量について

 それではキャノーラ油にはどのぐらいトランス脂肪酸が含まれているのだろうか?
それをちゃんと記している記事が少なかったので。
メーカーのサイトを見てみた。

現状の当社の主要な家庭用食用油のトランス脂肪酸含有量の分析例(日清オイリオのサイトから引用)

トランス脂肪酸の分析値               (2015年7月現在)
商品名 含有量
(g/商品100g)
日清サラダ油 1.5
日清キャノーラ油 1.5
日清べに花油 0.3
日清ヘルシーライト 1.0
ヘルシーリセッタ 1.5
ヘルシーコレステ 1.0
日清ヘルシーベジオイル 1.3

公開情報なので嘘はないと思う。
そうだとして日清キャノーラ油ではこの100g中に1.5g。
この量はキャノール油悪魔の油説の方々がいうようにめちゃくちゃ多い量なんだろうか?

そこでトランス脂肪酸が食品にどの程度含まれているのかを調べてみた。
農林水産省の食品に含まれる総脂肪酸とトランス脂肪酸の含有量というページによると。

 

油脂類
バター
13
81.7~84.7
1.72.2
マーガリン2)
20
81.5~85.5
0.36~13
ファットスプレッド
14
56.4~79.0
0.99~10
食用植物油
10
100
0.0~1.7
食用調合油
12
100
0.73~2.8
牛脂
1
100
2.7
ラード
3
100
0.64~1.1
ショートニング
10
100
1.231

上記表をみてみると。
キャノーラ油の場合、トランス酸含有量が多いと問題になっているマーガリンやファストブレッドショートニングと比較すればかなり低いということがわかった。
お菓子の殆どに使われているショートニングの場合、最大で100g中に31gも含まれている。キャノーラ油のトランス脂肪酸の20倍だ。

とは言え食用油の中では含有量が多い方だと思うんで。
キャノーラ油を使わない理由にはなるだろう。

でも「悪魔の油」というほどでもないだろうと私は思うがどうだろうか。

キャノーラ油の批判に溶媒抽出法で高温にさらされるとヒドロキシノネナールができるので最悪だというような記事も見かけた。
本当なんだろうか?
確かヒドロキシノネナールはリノール酸が酸化してすることでできるんじゃなかったっけ?
これについては次の記事で取り上げてみたいが。
私の中ではオイレン酸が多く含まれるキャノール油ではヒドロキシノネナールの生成はあまりないのではないか、って思える。

そして色々と調べてみた結果。
キャノーラ油を使うのはありだと私は判断した。
批判もあると思うけど。私は本当のことが知りたいだけなんである。
もしこの判断が誤りだというのであればぜひ教えていただきたい。

終わりに

気分転換画像

油ってのは書いても書いてもキリがないもののようだ。
最初は揚げ油について書くつもりだったのに。
そしてオイレン酸のことを書くつもりだったのに・・・・・キャノーラ油の話になってしまった。

ちなみに今回の私のおすすめはこれ。

昭和 オレインリッチ 600g

 

 

これが超おすすめの訳は次回。実はこれを発見して私は超嬉しいのである。

しかしまあとんでもない方向に行っちまった。
まったく思ってももないことを書いてしまった。
今回の記事はここでやめとこう。
続きを明日にでも書こうかな。ってことで。